足りない、もっと。



「よし。けっこういいの撮れたかな」



撮れたものを確認して、満足。

来週の活動日に部長に提出しよう。



「ありがとうございました」

「また撮りに来てね。あとデータもちょうだい」

「はい!」



お礼を伝えてから、体育館をあとにする。

今日は寄り道しながら写真を撮って帰ろうかな。


澪はもう帰ってるよね。

いつも帰るときは特に用事がないから一緒に帰っていない。

まだ残ってたりしないかな?
いちおう、教室を見に行こうかな……なんて。



「星野さん!」

「はいっ!」



澪のことを考えていると、いきなり名前を呼ばれてビクッと大きく肩が跳ね上がった。

びっくりした……。


心を読まれるわけないのに、澪のことで頭いっぱいだった自分に気づかれたのかとドキドキしながら振り返る。



「三宅くん、どうしたの?」

「ごめん、いきなり。いま休憩に入ったから」

「あ、バスケ部だもんね。いっぱい写真撮らせてもらったよ。ありがとう」

「俺のことも?」

「もちろん!」