足りない、もっと。



気がつけばあっという間に放課後になっていた。



「紗和、また明日」

「うん。また明日ね。バイトがんばって」

「ありがとう!」



有紀ちゃんに手を振って、教室を出て行く姿を見送る。

わたしもそのあとに所属している写真部の部室に行って、高校の入学祝いで両親に買ってもらった一眼レフを手に取る。


写真部は5人しかいなくて、基本的にゆるく活動している。

だからわたしもゆるく部活に行っているんだ。

今日の活動である写真を撮るために、体育館へ移動する。



「テキトーに撮ってもらっていいけど、ボール飛んでくるから気をつけてね」

「はい、よろしくお願いします」



体育館で活動するバスケ部とバレー部のキャプテンに挨拶をして写真を撮り始める。

う、動きが速い……!

いつもは風景ばかり撮っているから、動いている人を撮るのってすごく難しい。


けど、難しいからこそ、いい写真を撮りたくて夢中になる。