足りない、もっと。



ただの幼なじみだけど、会いたいってだけで会っていいんだね。

自信がなくて、いつも一歩を踏み出せないでいるけど……。



「てか、会いたいだけで会わせてよね。私は幼なじみじゃないから、会おうとしないと会えないんだもん」

「うん。会いたいから会おう。一緒にがんばろうね!」

「そうこなくっちゃ!」



わたしの言葉に有紀ちゃんは頭をぽんぽんとすると「お手洗いに行ってくる」と教室を出て行った。

まっすぐに恋をしている有紀ちゃんは本当にかわいくてかっこいい。


知り合ってからずっとわたしの憧れの存在だ。



澪とは幼なじみだけど、もっとがんばりたい。


わたしだってこのままじゃ嫌だってずっと思っているから……。



窓から外を眺めると、体操服姿の澪がけだるげに歩いているのが見えた。


どんなに遠くても澪のことをすぐに見つけちゃうのは、昔からずっと追いかけてきたから。


その場で足踏みしているだけで、一向に前に進めない自分が嫌になる。


けど、このままでいいかなって思ってしまうところがあるのは澪のせいだ。