足りない、もっと。




笑顔で頷くと三宅くんも笑顔を向けてくれた。

もうひとりの班員の藤村(ふじむら)くんはスマホで行き先の京都を調べている。


マイペースな人もいれば、引っ張ってくれる人もいてすごくいいメンバーかもしれない。



「紗和」

「ん?」

「春瀬くんと自由行動のときに会わないの?」

「えっ!?」



有紀ちゃんがわたしの耳元で尋ねる。

想像もしていなかったことで思わず大きな声が出た。


休み時間になったけどまだ近くにいる三宅くんが不思議そうにわたしを見た。


それには笑って「なんでもない」と誤魔化してから、有紀ちゃんを引っ張って窓際に移動する。



「ゆ、有紀ちゃんっ!いきなり……」

「だって紗和、春瀬くんとクラス離れてへこんでたからせめて自由行動はって……」

「むりだよ……幼なじみだもん……」

「でも毎日起こしに行ってるんでしょ?」

「うん……」

「それに、私もがんばりたいからさ……」



有紀ちゃんがぽつりとつぶやく。