「何…これ……?」

ゴゴ……ン

ゴーン…

空ではなく地の底から聞こえてくるような雷鳴の轟きをバックに、荘厳な城がそそり立っていた。

幻じゃあないわよね?

あたしはレンガでできた城壁をなでた。

たしかにそこにある。

ピカッ

「きゃぁっ!」

あたしは雷に怯えて、なにがなんだかわからなくなってしまった。

とにかく、中に入ろう。こんな城が森の中にあるなんて聞いたこともなかったけど、確かにここにあるのだから。

城主がいるとしても、まさか吸血鬼だとかマッドサイエンティストだとか、そんな非現実的なはずはない。

これは、まぎれもなく、現実なんだから。

あたしは門をくぐると(けっこうあっさり開いたのだ!)、あたしの身丈の倍はあろうかという大きな扉の前に立った。

「ごめんくださーい!」