その声で名前を呼ばないで




私が落ち着くまで、先生はずっと近くにいてくれた。



「百瀬、数学苦手なの?」


「苦手です、全然分かんないです」


「テスト、赤点ギリギリだったもんね」


「うぅ、言わないでください」



先生の声を独り占めしてるなんて、夢みたい。

幸せだな、私。



「でさ、百瀬はなんで俺のこと避けようとしてたの?」


「えっ、それは・・・」


「なに?」


「声、が」


「声?」