その声で名前を呼ばないで




ほっぺに感じるひんやりした先生の手。すぐ近くで聞こえる先生の声。甘ったるいこの空気。


私は咄嗟に立ち上がって、先生の手を避けてしまった。

あっ、さすがに感じ悪い・・・


先生のため息は、小さかったのに私の耳にまで届いた。



「百瀬さ、俺のこと嫌い?

授業中も、目合ったらすぐにそらすよね」



バレてたんだ・・・


先生と目が合った途端、心臓の音がうるさくなって、すぐにそらしちゃうこと。



私はまた、黙って首を横に振った。



「そっか。それならよかった。

ごめんね、触ったりして」



そんな悲しそうな顔、しないでよ。