歩きながらも頭痛はひどくなっている気がして、私は頭をおさえながら保健室に向かった。
校舎の中は外より少しだけ涼しかった。
「失礼します」
「はい」
保健室の扉を開けると共に、私の好きな掠れた声が聞こえてきた。
椅子に座っていたのはなぜか、保健の先生じゃなくて成田先生だった。
ダメだと思った、こんなにも近い距離で先生と話すのは危険だと思った。
「百瀬?」
何も言わずに動かない私に、先生が近付いてくる。
「あたま、いたくて、」
それだけ言うのがやっとだった。
「熱中症かな、ベッドまで歩ける?」
こくりと頷いたのに、足が動かない。これは熱中症のせい?それとも先生のせい?
