「会いたいなぁ」

布団の中で思い出すのは、亡くなった私の大切な猫のキキの事。
あれから大分、経ったのに今だにキキの事が忘れられなくて寂しい。


「キキー…」
ニャアーーー


「キキ⁉︎」
猫の声にビックリして飛び起きた。

急いで電気を付けると私のそばには、キキより一回り小さい白猫がいた。


すぐさま白猫を抱き、1階で寝ている母を叩き起こす。


「お母さん起きて!大変!!」
「…何よ」

「キキの生まれ変わりが家に戻ってきたんだよ!お母さん、私、この子飼いたい!」

「えぇ?何いってんのよ。家には猫を飼う余裕なんてないの。ダメに決まってるでしょ。それよりこの猫、どこから入って来たの?」

「…私の部屋のベランダからだと思う」
「窓、開けて寝てたの?」

ニャアーーー
猫が私に何かを訴える様に鳴いた。


「それにしても懐っこいわねぇ」
「キキだからだよ!」
「そんなわけないでしょ。ほら、外に逃してきなさい。もう窓開けっぱなしで寝ちゃダメよ」
「窓、閉めて寝たよー」
「はいはい、おやすみー」


お母さんの部屋を出た後、廊下でギュッと白猫を抱きしめた。


「キキ、ゴメンね。飼ってあげられないんだ」

ニャアーーー

しばらく抱きしめた後、外に出てそっと白猫を解放した。
少し歩いた白猫は振り返り、私をジッと見つめる。


ニャアーーー

一鳴きした白猫は、それから私に背を向け暗闇の中に溶け込んでいった。



「キキ、会いに来てくれてありがとう」