「王妃様!お帰りなさいませ」
「私の留守中、変わりなかったか?」
「何事もございませんでした」
扉を開けるとそこは、私の部屋だった。
部屋にはメイドが一人、掃除をしている。
「風邪薬を取りに来たの。1週間分程、出して頂戴」
「王妃様、お風邪を引かれたのですか?そろそろこちらに戻ってきてはいかがですか?」
「風邪引いたのは娘よ」
「まぁ!姫様が!大丈夫でしょうか?」
もう話しは終わりと手で合図を送る。
メイドはスッと一礼し、掃除用具を持って部屋を出ていった。
フゥ、と息を吐きソファーに座る。
フワリと私の体を優しく包み込むこのソファーは、地球では売っていない物。
そう、ここは地球ではない。
異世界と呼ばれているところだ。
まだコタツの中にいるであろう、娘の事を考える。
「あの娘がこの事を知ったらどう思うかしらね?」
フフフッ…
想像したら笑ってしまった。
そろそろ本当の事を言うべきかしら?
目の前の窓から見える地球と同じ色をした空を見つめながら、ぼんやりと考えていたーーー