日南さんを助け、日陰にあるベンチに座らせた。

日南さんにとにかく危機感というものを覚えさせなければいけないと思っただけだった。

「二人きり以外にも、キスされそうになったりとか」

そして顔を近づけたら当然嫌がると思ったんだ。

「こんな風にされたら嫌だろ?」

けれど帰って来たのは想像もしていなかった答えだった。

「⋯⋯嫌じゃないです。だって、湊さんだから。嫌じゃないです」

一瞬静かになり、二人の目が合う。

俺らのことを気にする人は誰もいないだろう。

日南さんの唇に引き寄せられるように近づいていく。

「優海ーっ!俺とも遊ぼうぜー!」

『⋯⋯』

あと少しだったのに。

いや、止まってよかったのかもしれない。

どっちみち今はまだ付き合っていないんだ。

焦りは禁物だ。

「⋯⋯日南さん、行こっか」

「は、はいっ」

そう思いつつも、どこか残念に思っている自分がいた。