「日陰で休む」そう言って日南さんは俺から逃げていってしまった。

「⋯⋯ちょっと日南さんには刺激が強すぎたかな」

逃げられてしまったので、少しだけ時間を空けて追いかけることにした。

(多分落ち着いてないところに行ってもまた逃げられるだけだろうしな)

海から出ていく日南さんを目で追う。

きっと日南さんは気づいてないけど、今日の俺はあまり日南さんを直視できていない。

「はぁ⋯⋯なんだよあの水着。可愛いすぎんだろ」

俺が何も水着について言わないせいでしょげていたのも可愛かった。

日南さんにこんなにも惚れ込んでいる自分が怖い。

そんなことを思いながら日南さんを見つめていると、異変に気づく。

日南さんが男三人に絡まれている。

「っの⋯⋯!」

すぐに日南さんがいる方へ走る。

今までで一番早く走れている気がする。

できるだけ冷静にナンパ野郎を追い払おうと思った。

だけど日南さんの腕が掴まれるのを見た瞬間、俺の中の何かが切れた気がした。

「実栗!」

前は照れくさくて呼べなかった名前。

日南さんを守らなきゃと思ったら自然と口から飛び出した。

「これ、俺のなんだけど」

そう言って俺は気がついた。

俺はきっと自分が思っているよりもずっと日南さんが好きなんだ。