彼、予約済みです。

ありえない状況に思考停止する。

なぜ湊さんがここにいるのだろう。

昨日のことで怒っているのか。

それならすぐに謝らなければ。

「あっ湊さん、昨日は⋯⋯」

「昨日はごめん!」

「⋯⋯え?」

私が謝ろうとしたのに湊さんが謝ってくるので驚いてしまう。

「本当、びっくりしたよな。俺が急にあんなこと言うから⋯⋯」

私が悪いのになぜ湊さんが謝るのだろう。

謝る必要なんてないのに。

そんなことを考えていると横に立っていたすみちゃんが口を開いた。

「湊さんはどうしてここに?」

「あ、それは⋯⋯もう一度、日南さんと話がしたくて」

もう一度。

湊さんは怒っていないのだろうか。

「あ、でもその感じじゃ夏本さんと遊びに行くんだよね。だったら俺は⋯⋯」

「いえ!別に今日じゃなくても大丈夫なので、是非実栗と話をしてください!」

私が返事をする隙も与えず代わりにすみちゃんが話を進める。

「じゃ、実栗。楽しんで!」

「ちょ⋯⋯すみちゃーん!?」

すみちゃんは私と湊さんを置いて走って去っていってしまった。

「えっと⋯⋯カフェにでも行く?」

「そう、ですね」

どうしろって言うの、これ。