意識が浮上した時には、すっかり朝になっていた。

自分のベッドで迎えた朝。

なのにその状況は絶望的に悪い。



身体がとても痛い。

少し動くのにちょっとした勇気がいる。

痛む箇所に心が抉られる。


「おはよ」


不意に顔を出した男の髪は濡れていて、裸にタオルを掛けている状態だ。


「………朝からそんな格好でいるんじゃないよ」


思わずいつものように声を掛けてしまい、後悔したがもう遅い。

あいつはすごく幸せそうに笑ってベッドに腰掛け、僕の頭を撫でる。


「ごめんな」


そう言ってテレビを付けた。

朝といっても、もう昼に近いじゃないか。

今日休みでよかった。

いや貴重な休みをこんな状態で過ごすのが嫌だ。


「謝るなら最初からするな………性犯罪者め」


人をレ◯プしやがって。

人間の尊厳とか色々とめちゃくちゃに踏みにじられた。

身体の負担も凄いし。

何より僕は怖い。



今隣で何事もなく笑っている。

いや、むしろ恋人になったような顔をして、髪を撫でているこの男が怖い。

この笑顔が………。



眺めているはずのテレビの内容も入ってこない。

でもあからさまに怖がるのも悔しいが。


「ん?」


目が笑っていない。


「………な、なんでも、ない」


震えながら唇を噛んでこらえた僕の肩に、あいつは噛み付いた。