「ね、本当にツキ女なの?」

「え、あ、はい。そうですけど…」

「へぇー!名前はなんて言うのー?」

「おい、圭哉。行くんだろ」

「ちょっと待ってよー。ツキ女の子と話せることないから、お話ししたっていいじゃーん」

「迷惑だろうが。いいから行くぞ」

「ちょっ、何もしないから!少しだけ話させてよ!皇雅を待っててあげてたんだから、僕の我儘聞いてくれたっていいでしょ!」

「待ってくれなんて、頼んだ覚えはない」


先程と同じように言い合いが始まる。私はこの場にいない方がいいような気がする。

でも、圭哉さんは私と話しをしたそうだし、見た目はあれだけど、悪そうな人には見えない。



「あ、あの。お時間があるなら少し話しはできますけど…」

「本当?やったー!」

なんか、すごく子供っぽくて可愛らしい。
七絃に似てるかも。


「水無、コイツに付き合う必要はないぞ?」

「皇雅のケーチッ!」

「てめぇ、後でシバく」


先程から先輩の口から物騒な言葉が出てきてることに驚きを隠せない。そんなイメージがなかったから。いかにも怒りをあらわにしてる先輩に対して、微動だにせずに私に話しかけてくる圭哉さん。


私はどうしていいのか分からず、交互に2人を見ていると先輩が「10分だけだぞ」と呆れたように言い、圭哉さんは嬉しそうに笑った。