「悪いな」
「え?」
「さっきのアイツのことだよ。何か嫌なこと言われてねーか?」
「い、いえ。何も言われてないです」
「そうか。明日アイツ叱っとくから」
「あ、あの…」
「ん?なんだ?」
「さっきの人と知り合いですか?」
何かまずい質問をしたのか、先輩は目を逸らし後髪をかきながら言いにくそうに話す。
「んー、まぁ、仲間かな」
「仲間?あの人と?」
「そーゆーこと。さっ仕事」
東雲先輩は売り場に戻っていき、何か誤魔化されたような気分の中、私はそれ以上深入りをすることなく仕事を進めた。
そして、高校生のため先輩と私は同じ時間に上がり、バイト先で別れた。
15分歩いて着いた家は真っ暗で誰もいない。
「……ただいま」
返事がないのを分かっているのに、呟きながら言ってしまう私は本当に弱いのだなと思い知らされる。私はシャワーを浴びてすぐさま寝た。



