柳の木の下で貴方が言葉を拾ってくれた



「おい」


今まで口を開かなかった総長と呼ばれる、七瀬氷牙さんが口を開いた。


「皇雅、圭哉。この女をどうしたい」


私へと質問なのかと思っていたら、先輩と圭哉くんに向けられた言葉だった。



「助けたいと思っている」



え?
助けたい?




「なんか、訳アリっぽいからねー。力になりたいとは思ってるよー」


なんで、そんなことを言うの?先輩はともかく圭哉くんとは2回ほどしか会っていないのに。


「その女は話す気がないのに、どうやってだ」

彼の言う通り、私は何も話す気なんてない。話したら私のことを諦めてくれると思うけど、ここでは言えない。


これは私の問題だから、誰にも迷惑をかけたくない。


それなのに、どうして…。



「水無が言うまで俺は諦めない」

「まだ、僕達が怖いだけだと思うよー。いつか、怜ちゃんは話してくれると思ってるよ!」


なんで、こうしてこんな私のためにってしてくれようとしてるのか分からない。


私はそんなこと望んでいないのに。
もう、これ以上関わりを持ちたくないのに…。


その時、電話のバイブ音が鳴る。
私のポケットの中でスマホが震える。


手にとって、電話の相手を見て私は一気に恐怖で震えあがる。出ないわけにはいかないため、私は誰にも表情を見せたくなかったため俯いて電話に出る。


「…もしもし、」

「今どこにいる」

「…っ、」

風翼のアジトにいると言えば、この人達が危ない。そう思った私は咄嗟に嘘をついた。



「……友達とファミレスに…」

「へぇ、そんな嘘が通じるとでも?」


ドクッと心臓が大きく脈を打つ。


もう、すでに私が風翼のアジトにいるとバレている?


「…!?。ごめんなさい。今すぐ戻ります」

「15分だ。余裕だろ?」

「はい」



電話はここで切れた。