「おっ待たせー」
この空気に場違いのような高く明るい声で入る圭哉くん。
それより、今更だけど美形揃いだし、先輩や圭哉くんが幹部ってことに驚く。本当に今更だけど。
「水無と、その友達はそこに座って」
2人で座るように言われた赤いソファーは見るからに高そう。
私達が座ると先輩によってここにいる人達の紹介がされた。
「簡単に説明する。まず、俺は東雲皇雅。ここの副総長だ。青い髪の奴が小鳥遊《タカナシ》弥那《ヤナ》。そして、金髪が有栖圭哉」
「よろしくねー」
ニコニコと無邪気な笑顔を見せてくれる圭哉くん。
「んで、黒髪がうちの総長の七瀬《ナナセ》氷牙《ヒョウガ》だ」
紹介をされたら私達も必然的にしないといけなくなる。
それはつまり、彼等と関わりをもってしまうということになる。偽名なんて名乗れない。先輩も圭哉くんも私の名前を知ってしまっているから。ここに連れてこられた時点で、後戻りできないところまできてしまっている。
「私は、水無怜、です」
「私は怜の友達の清水七絃です」
お互いの名前が分かると先輩は話を続けた。
「それじゃ、本題に入るぞ。水無。お前、何を隠してる?」
先輩から確信をもった質問に鋭い目がこちらに向けられる。七絃も私を見る。私はしっかりと全員の顔を見て話す。
「何も隠してなんていません」
「じゃあ、昨日の言葉はなんだ」
「そのままの言葉です。私に関わらない方がいい」
なんの事か分からない七絃は私と先輩を交互に見ている。
それはそうだ。
七絃にも私が"何者"なのか話していないのだから。



