走って家に帰ったことで、いつもより5分早い帰宅となった。
私は玄関の壁に寄りかかり息を整えながらさっきのことを思い出す。
そして、関わってはいけない人と関わりを持ってしまったことに後悔していた。
「…っ…。だ、大丈夫。大丈夫」
そう、何度も自分に言い聞かせ、恐怖する体をギュッと落ち着かせる。
大丈夫、もう、関わることなんてない。
でも、バイトを辞めるわけにはいかないし、先輩にどう説明していいかも分からない。
それでも、嘘をついてその場を誤魔化さなきゃやっていけない。
でも、まさか、"あの人"と敵対してる暴走族とは知らなかった。
知っていたら、どうにかできた?
………いや、何も出来なかったはず。
"あの人"はまだこのことを知らない。私が関わらないようにすればいいだけの話だ。
だから、大丈夫。
私はシャワーを浴びて恐怖を忘れるようにして眠りについた。



