「…え」
「悪い。隠すつもりは無かったんだが、なかなか言えなくて」
先輩が申し訳なさそうに謝る。
先輩までもが暴走族に入っていたとは思わなかった。
そう言えば南波高校って暴走族がいるって有名なところだった。
「え、怜ちゃんに言ってなかったの!?そりゃあ、吃驚するよね。でも、大丈夫だよ!僕達が無法地帯無くすから!」
「…どういうこと?」
「近々僕達は白骸っていう暴走族と抗争して、僕達の領域にするんだ。でも、そこの総長である荒川蓮二が強敵だけど、僕達も負けてないからツキ女の所も安全になると思うよ!」
聞きたくなかったワードが出てきて、心臓が爆発しそうなほど大きく音を立てている。
咄嗟に俯いてしまった。
恐怖を隠すために。
どうしたの?と顔を伺おうとする圭哉くんに悟られてはいけないと咄嗟に平常心を保った私からの言葉は、彼等に疑問を与えたに違いない。
「もう、私と関わらないでほしい」
「え?どういう…」
圭哉くんが言葉を言う前に私はその場を去りたくて走って逃げた。
「ちょっと、怜ちゃん!?」
呼び止める声は聞こえても私は走ることを止めない。



