「それで、名前は?」
「水無怜です」
「へぇー、怜ちゃんって言うんだ!僕は有栖《アリス》圭哉。気軽に圭哉って呼んでね!」
「いきなり呼び捨てでは呼べませんので、圭哉さんで」
「ちょー堅苦しいじゃん!敬語もナシ!呼び捨てできないなら、せめて"くん"でいいからー!」
私が困っていると先輩が私に言いかける。
「圭哉は水無とタメだから、気を使う必要ねーよ。それにガキっぽいし」
「ガキじゃねーもん!」
「そーゆーところがガキって言うんだよ」
先輩の言い方は悪いけど、まぁ子供っぽいというのは凄く分かる。同じ年なのかとちょっと疑っちゃう。
また、言い合いが始まると話が進まないから、言い合いが始まる前に私が口を開く。
「じゃ、じゃあ、呼び捨ては難しいから圭哉くんって呼んでもいいかな?」
「もちろん!」
笑顔を見せてくれたことにホッとした瞬間も束の間、私は聞いてはいけないことを聞いてしまった。
「そーいえば、ツキ女の辺りは無法地帯が多いから気をつけてね?」
「え?」
「圭哉、水無は一般人だ」
「だからこそでしょー?危ない奴がいるから気をつけてって言ってるんだよー。僕等が見回りしてるけど、野放しもいい所だよね」
「ねぇ、何のこと?」
私には話の内容がサッパリ分からない。
無法地帯って何?
見回りってどういうこと?
そんな私の疑問を圭哉くんは簡単に解決してくれた。
「僕達、風翼っていう暴走族なんだ」



