メルは、わずか7歳だというのに、すでに美しかった。

彼女の衣服は決して綺麗ではなかった。

それでも、やがて成熟すれば、どんな宝石よりも輝くだろうと、誰もが思った。

無垢な笑顔で、きらきらと笑いながら、兄の背を追いかける彼女を、道ゆく人々は眩しそうに眺めるのだった。



「お兄ちゃん!」

少年は、何気ない仕草で振り返った。

「なんだ」

「今日はどこで寝るの」

「わからない」

彼らは商人ではなかった。

だから、ヨルド人が手を差し伸べることはなかった。

彼らは王国の善意から取りこぼされていた。