椅子こん!




その頃、街には少し変化が現れていた。
『わかりました、同・性・愛・は・認めましょう!』

 昨夜のおぞましい騒ぎの様子は一夜にして市長にも知れ渡っていた。

 けれど、椅子は椅子だ。人権などあるわけがない。対物性愛の醜さから逃れたいが少しは恋愛に対して市民に前向きな姿勢を見せたい。
そんな理由から今ではとにかく『生きものでさえあれば』幅広い支援をすることをより確約する企業なども増えているらしい。
──意地でも、生きもの以外には恋をさせるわけにはいかない。
それが恋愛時代に生まれてきた旧世代のプライドだった。
これにより、より一層対物性愛への迫害が強まっていく……