椅子こん!






私って……何が、好きなのかな。
……ううん、そういう、ことじゃないの。
でも、あなたは、どこにもいないんじゃないかって。
私は、どこにも、いないんじゃないかって。
考えることがあるの。
みんな、目が覚めたら、本当はどこにも、居ないのかもしれない。

私は、あなたの、何を、覚えているのかな。
わたしは、ねぇ、わたしは、あなたの、どこに、居るの?

 私は、目が覚めると、いつも、あの湿った部屋の、暗い血溜りに立っていて――
そして、誰も居ない。
そこではいつも、牛乳と生ごみを混ぜて焼いたような、あの。『人間』の、においがする。死んだサンゴが、散らばってる。

詩人が、死は鉄のにおいがするなんて言ったけど、嘘よ。
生ごみみたいなにおい。

乾いた風に混ざって。漂ってくるの。だからもう一度、目を、閉じて、もう一度、起きる。

私は、あなたの、どこに、居るの?

死んだサンゴは、私の、心の中に、いつも、居る。