椅子こん!


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『今あるぶんは発送準備も進んでて、結構いい感じなんですけど? もっともっと、欲しい~! 怪物までハクナだけのせいには出来ないから? もっともっと上役を揺するためにも、欲しい~!
わかった?』
「──わか、りました、考えてみます」

『よろー! 最後にギョウザさんから、アドバイス。
「学会に疑問を持つものがでてきてるかもしれない。まず! 身なりは必ず! チェックされるよ……ダイジンの時代をおもいだして!近づくコト!!…………話をする時は、落ち着いた態度で……暴言、失言、吐かない!!!!大事ネ」』



 再びのラブレターテロ。
これこそ、ばれたら既に打つ手はなくなるだろう。
学会もここまで追い詰められているということだ。受話器を戻して、ため息を吐いた。
やはり断ろうかと、改めて、支所のひとつに電話をかけ 
──『万本屋さんですか!?』という被せ気味の声がした。かぐらしあつ子の娘、かぐらしりさだった。
44街恋愛研究所と繋りがある万本屋がよくスキダ研究の内容を彼女が勤める部署に渡しに来ていた。
「いや、万本屋が、どうかしたのか?」
『居なくて! いつもの時間に来ないし、そちらの方向に向かったところからポジショニングシステムが動かないから……一緒に居られるのかと思いました』
「──いや、知らないが……あいつがこの近辺に?」

 彼女は普段は違法なスキダ狩りを取り締まったりしているが、ラブレターテロに関わっていた一人でもある。

スパイ企業として悪名高い『ネオ・コピーキャット』の、黒スパイ完全育成計画の為に『秘密の宝石』取引のビラ配りや、受け子──工作をうまく運ぶ為の情報操作を手伝ってもいたのだから。

当時はそういったものの規制には緩かった。