「──あぁ黄色い『インコ』ちゃん。
どうやって活用してあげましょう?
瓶に入れて持ち歩く?
アカシアのように帽子につける?
それもいいですね。
前の大戦によりあの大樹の1つが滅んだとき、木は残らなかった。けれど、私は信じているのです。どこかに、あの木の欠片は存在すると…………」
田中市長は、幼い頃から魚頭だった。周りは人間の頭部の人ばかり。
魚頭を受け入れてくれる人なんか居なくて、まるでスキダのような形をした頭部が憎かった。
田中の両親は世間の目を気にし、怖がり、「スキダの呪いにちがいない」と彼女の魚の頭部がなんとかなる理由づけを求めて、設立されたばかりの恋愛総合化学会に彼女を投げ入れようとした。
そのときには、世間に育児放棄と騒がれたため、渋々彼女を家庭で育てることで了承する。
その後少しずつ家族に打ち解けたように、みえる田中だったが──
「うわああああ! スキダがほしいいい! ほしいいい! ほしいいい!」
数年後。
成長してもずっと、頻繁にミルクと、スキダを接触しなければ具合が悪くなり泣きわめく幼いままの田中に不安を感じた両親は専門医を訪ねる。
他の子と田中は違う。
医師は真剣な顔で両親に告げた。
「彼女の、脳に疾患が見つかりました。うまれつきスキダを制御出来ないことと、魚頭は関係があるのでしょう」
脳の疾患、そして精神的疾患が田中の身体を蝕んでいた。
スキダは精神的なものの具現化とされている。
疾患によりスキダが制御出来ない彼女の身体は、まるでスキダそのもの──魚頭となって現れたという。
遺伝的なもので、両親も因子を持っていたらしいが、田中はそれを濃く、さらに強くついでしまったのだ。
発狂、難聴、落ち着きがなくなるなどが顕著に現れる。
症状をおささえるためには、自らは作り出せないスキダを他人から貰うしかない。田中は他人の持つスキダを摂取するしかない身体だった。
彼女が高校に入学したばかりの頃、運悪く、田中に寄付されたスキダが怪物化する事件が起こる。
スキダをほしいほしいと泣きわめく彼女の前で、皮肉にも、その「ほしいほしい!」と思ってやまないスキダが、両親を殺した。
部活で遅くなりながらも帰宅した彼女の目の前、キッチンに広がっていた惨劇。伸びた触手が、父母の首を絞め上げている。
「ああああああああああああああああああああああああ!!!」
居場所も財産もなにもかも無くした彼女は恋愛総合科学会によって救われ、彼女の運命のつがいであった前会長によって、救われた。
学会の力で彼女は好きなだけ安定したスキダを得ることが出来、症状ももう随分と出ていない。
だから今も本気で信じている。
運命が、恋愛が、つがいを、幸せを作る。
彼女が恋愛によって自分を生まれ変わらせたように。
スキダは単なる田中の食料じゃない。ときには誰かに寄生する。
けれど、スキダは自分の入り込めない相手に奇生することはないはずだ。そう、完全に正解でなくてもいい、44街はこの強制力により、今も怪物から守られている。
少しでも、守られているはずだ。
みんなが、気持ちをひとつにしさえすれば、もう、誰も怪物に殺されないと────
思い、たいのに。
どうやって活用してあげましょう?
瓶に入れて持ち歩く?
アカシアのように帽子につける?
それもいいですね。
前の大戦によりあの大樹の1つが滅んだとき、木は残らなかった。けれど、私は信じているのです。どこかに、あの木の欠片は存在すると…………」
田中市長は、幼い頃から魚頭だった。周りは人間の頭部の人ばかり。
魚頭を受け入れてくれる人なんか居なくて、まるでスキダのような形をした頭部が憎かった。
田中の両親は世間の目を気にし、怖がり、「スキダの呪いにちがいない」と彼女の魚の頭部がなんとかなる理由づけを求めて、設立されたばかりの恋愛総合化学会に彼女を投げ入れようとした。
そのときには、世間に育児放棄と騒がれたため、渋々彼女を家庭で育てることで了承する。
その後少しずつ家族に打ち解けたように、みえる田中だったが──
「うわああああ! スキダがほしいいい! ほしいいい! ほしいいい!」
数年後。
成長してもずっと、頻繁にミルクと、スキダを接触しなければ具合が悪くなり泣きわめく幼いままの田中に不安を感じた両親は専門医を訪ねる。
他の子と田中は違う。
医師は真剣な顔で両親に告げた。
「彼女の、脳に疾患が見つかりました。うまれつきスキダを制御出来ないことと、魚頭は関係があるのでしょう」
脳の疾患、そして精神的疾患が田中の身体を蝕んでいた。
スキダは精神的なものの具現化とされている。
疾患によりスキダが制御出来ない彼女の身体は、まるでスキダそのもの──魚頭となって現れたという。
遺伝的なもので、両親も因子を持っていたらしいが、田中はそれを濃く、さらに強くついでしまったのだ。
発狂、難聴、落ち着きがなくなるなどが顕著に現れる。
症状をおささえるためには、自らは作り出せないスキダを他人から貰うしかない。田中は他人の持つスキダを摂取するしかない身体だった。
彼女が高校に入学したばかりの頃、運悪く、田中に寄付されたスキダが怪物化する事件が起こる。
スキダをほしいほしいと泣きわめく彼女の前で、皮肉にも、その「ほしいほしい!」と思ってやまないスキダが、両親を殺した。
部活で遅くなりながらも帰宅した彼女の目の前、キッチンに広がっていた惨劇。伸びた触手が、父母の首を絞め上げている。
「ああああああああああああああああああああああああ!!!」
居場所も財産もなにもかも無くした彼女は恋愛総合科学会によって救われ、彼女の運命のつがいであった前会長によって、救われた。
学会の力で彼女は好きなだけ安定したスキダを得ることが出来、症状ももう随分と出ていない。
だから今も本気で信じている。
運命が、恋愛が、つがいを、幸せを作る。
彼女が恋愛によって自分を生まれ変わらせたように。
スキダは単なる田中の食料じゃない。ときには誰かに寄生する。
けれど、スキダは自分の入り込めない相手に奇生することはないはずだ。そう、完全に正解でなくてもいい、44街はこの強制力により、今も怪物から守られている。
少しでも、守られているはずだ。
みんなが、気持ちをひとつにしさえすれば、もう、誰も怪物に殺されないと────
思い、たいのに。



