あのね、先輩



とてつもなく汚い字



それとは正反対で、先輩の容姿はとてつもなく美しかった



「さらっさら!!」

「咲、ここ図書館だから、静かに」

「さらっさらさら!!」

「はいはい、ほら、ここ間違ってるよ」



サラサラの黒髪


二重の深い茶色の瞳


陶器のような美しい肌



一種の美術品のような先輩は、自分の髪の毛を見て騒ぎ立てる後輩を優しく宥めてくれた



「手まで綺麗ですね」

「……見すぎ、変態」

「でも、字は汚いですね」

「赤点とっても知らないよ」

「すみません、先輩さまさまです」



うるさい後輩に、学校中が憧れる格好いい先輩


接点なんて委員会が同じだっただけなのに、前期の委員会が解散した後も、先輩は私と一緒にいてくれた