どうしても気持ちの収集がつかなくて、ごめんなさいと思いながら授業を抜けて、保健室にいた


私の顔を見て、柔らかく笑った保健室の先生は、ビスケットをくれて、ベッドを使わせてくれた




自分から離れたのに



楽になれると思ったのに




もう会いたくて、会いたくて


咲って呼んで欲しくて





気づけば泣きながら寝ていた






誰かに優しく触れられている気がして、重たい瞼を開ける




「空、先輩」



私が名前を呼ぶと、苦しそうに顔を歪めて笑った先輩


その手は私の髪を優しく撫でていた




………まだ、好きだなぁ



溢れる感情が心臓を激しく揺らす




好き、大好き



そんな風に切なげに笑う先輩も


優しい手付きも




好き




離れたのにこんなにも好きが見つかる



ふと、先輩の手が私の頬に触れた


頬をなぞられて、思わずその心地よさに瞳を閉じる



すぐ側で体温を感じて、瞳を開ける




「……………っや!!」



思わず突き放した手


先輩はまた悲しそうに笑った



「………ごめん」



ごめんって何ですか?



どうして付き合ってるときにしてくれなかったの?



…………あの人とはしてた癖に




「…彼女じゃない人には簡単にするんですね」




ダメだ


可愛くない



嫌味を言いたかったわけじゃない



ただの嫉妬




羨ましかったの



先輩に触れて貰えるあの子が



これ以上、汚い私を見られるのは嫌で、部屋を出る



「咲」



先輩が私を呼んだのに、また冷たく言葉を吐いてしまう



ごめんね、先輩



こんなに悲しくなるなら、先輩と会わない方がよかったかな



ごめんね





今すぐ飛び付きたかった衝動を抑えてその日は家に帰った