あのね、先輩


だけど、咲が俺の教室に遊びに来てくれるようになって、その心境は複雑になる



「空の彼女、すげータイプ」

「そろそろ飽きたろ?次俺に譲れよ」


飽きねーし


讓んねーし



教室に来てくれる咲を、周りの奴らがジロジロと見る



それが心の底から嫌で、モヤモヤとした感情が広がっていく



俺だけの咲でいてほしい


もし、咲が他に誰か好きになったら?


こんななにもしてやれない俺はすぐに捨てられるだろう



てか、周りの奴らの視線が危ない


いつ咲に襲い掛かるか…



目の前で笑う咲を思わず閉じ込めたくなる


誰の視線にも触れないように





とにかく、咲には教室に来ないように言った


その時、咲は驚いた顔をしたけれどすぐに笑って、放課後までの楽しみだね、と言ってくれた



一度


咲が弁当を作ってきてくれた



嬉しかった


可愛い



沢山思うことはあったのに、それでも。


口から出た言葉は余裕の無い俺をただ咲にぶつけただけになってしまった



気になって仕方なかった


咲が他の奴の視界に入ることが許せない



思ってもない言葉で咲を傷つけた



その日の放課後



咲はずっと悲しそうだった


弁当を俺が食べてるときも、ずっと喋っててくれたけど、どこか辛そうで




このままじゃだめだ




一度、咲から離れた方がいい




一番彼女を傷つけるのは俺だ



もともと会う時間の少なかった俺たちは、もっと会わなくなった




俺自身の狂気から咲を守るために


今会ってしまったら、何もかも咲の全てを手に入れたくて、めちゃくちゃにしてしまいそうだ