あのね、先輩


その日の放課後


先輩はさっきの弁当は?って言ってくれて


そしたら、全部食べてくれた



もしかしたら、お昼の時はたまたま機嫌が悪かっただけなのかも知れない


たまたま…………



「咲」

「はいっ?」

「……教室、もう二度と来ないで」



私の顔も見ないで、そう言った先輩は私にお弁当箱を返すと、一人で帰ってしまった




いつもは危ないから、と、必ず家まで送ってくれていた



その日から、放課後の図書室に先輩が来ることは無くなった




どんなに待っても


何日経っても



先輩は来なかった