「さくらっさくらーっ」
そう呼ばれて奥から出て来たのは、小さい女の子だった。
「何か御用ですか?マスター」
無表情で訊く彼女は人形。
マスター――ショウマが造った最初の人形である。
「ごめん…其処の本取ってくれる?」
「承知しました」
堅苦しい返事をした後、
足元に散らばった本を全て拾い、ショウマに渡す。
「あの…この一冊だけでよかったんだけど…」
緑色の本を手に取り、さくらに見せる。
「失礼致しました…ですが、マスターはまた本を取れと申されるでしょう。
それなら一気に渡してしまった方が利口かと」
ようするにいちいち本を取るのが面倒らしい。
ショウマは軽く溜め息をし、本をその場に置く。

あぁ…何でこんな子になっちゃったんだろう…

心の中で嘆く。
僕が造りたかったのは、もっと…