半笑いの神城くんが胸元のネクタイを緩める姿にドキッとした。
「先生がっ……」
私がそう言うと、神城くんはチラッと先生の方を確認した。
そして「もういねえよ」と、私の方を向き直る。
「じゃあどいてよっ」
「倉木さんって、髪染めてんの?」
「染めてないけど……これ地毛だから…おばあちゃんがイギリス人で……」
母方の祖母はイギリス人なので私はクウォーターになる。
だから私も明るい茶髪だ。
昔はこれのせいでいじめられたこともあったけど、その度に母が私のことを守ってくれて、とても綺麗な髪だと褒めてくれた。
そのおかげで私は自分の髪が好きになれたし、わざわざ黒に染めようとも思わない。
「そっか。どうりで」
そう言って私の髪をサラッとすくい上げた。
気軽に髪を触られたことがないから驚いた。
これは……相当女の子の扱いに慣れてる。



