気付いた時にはその男の拳を掴んでしまっていた。
あ……。
「ちひろ!?」
天馬くんがバカかよって顔で私を見ている。
私も自分がバカだと思う。
「あ?なんだこの女……」
「な、殴るのだめです!やめてください!」
イカツイ男の人を目の前に手足が震える。
「天馬の女?」
「違う……」
「そっか、この子の片思いってことね?健気だねー」
顔を近づけられて体が硬直した。
「て、て、て天馬くん逃げ……て!」
男の拳を掴んだままだったけど、震えて手に力が入らない。
「へー、よく見たらめっちゃかわいくねぇ?天馬がいらねーんなら俺と……」
掴んでいた腕を逆に掴まれて引っ張られた。
「イタっ……やめてよ!」
抵抗した瞬間に私はよろめいてしまい、砂浜に倒れてしまった。



