『じゃ今から出てこねー?渋谷にいるんだけど』
「えっ渋谷!?」
『いいよな?30分後、駅で待ってるから』
「え、ちょっ……」
返事も聞かぬまま電話を切られた。
なんなの!?本当自分勝手でびっくり。
自分を王様かなんかと勘違いしてるんじゃないだろうか。
でも今日はなんの予定もなくなったわけだし。
家にいてもさっきのことでイライラするだけだよね……。
外に出たら少しはスッキリするかも。
財布やポーチをバッグに詰めて部屋を出ると、ちょうどお母さんと出くわした。
「ちひろ!ちょうど部屋に行こうとしてたの。これ……」
そう言って手に持っていた茶色の服を渡された。
落ち着いた色のワンピース。お母さんのかな……。
さっき義父に言われたから探したんだろう。



