「ぅう……それがちひろを苦しめることになるなんて……私は母親失格だわ……」
「いや、すべて私の責任だ。私が間違っていたんだ」
お母さんの肩を抱きよせる義父から、優しさが溢れていた。
こんな一面もあったなんて。
「ちひろ、前に咲に嫉妬してるだろうと言ったのを覚えているか？」
「あ、うん……」
「あれは私の事だったな……私はお前に嫉妬していたんだ」
「お義父さんが？」
「うちの娘よりお前が神城家に選ばれて……嫉妬していたんだよ。なんて幼くて惨めな奴なんだろうな、私は」
「でも……それでも今こうやって考え直してくれた。それだけで私は十分だよ。だって……私も咲の幸せを願う１人だから。お義父さんの気持ちもわかるもん」
「お姉ちゃんの犠牲の上で成り立つ幸せなんて、少しも嬉しくないよ！」
咲がそう言ってくれたけど、本当に義父の気持ちもわかる。
