「はぁ」
と、沈黙のあとに大きなため息をついた義父はゆっくりと顔を上げた。
「ちひろ」
「は、はい!」
「疑って悪かった」
そう言って再び頭を下げた。
その行動が信じられなくて、私は返事をするのも忘れて見入っていた。
「私のやってきたことは……すべて裏目に出ていたんだな……」
弱々しい義父の声に驚く。
いつもの自信溢れる声じゃない。
私の知ってる義父の姿ではなかったから。
「お義父さんの……私に対する態度は恐怖しかなかった。毎日この家に帰るのが辛くて逃げ出したい時もいっぱいあった……」
「ちひろっ……ごめんね、お母さんがもっとしっかりしてればっ」
横で涙ぐむお母さんの顔を見ると辛い。
「違うよ、お母さんは必死だったんだよね?お父さんが死んで、私が寂しくならないように新しい家族を作ってくれようとしていたの、わかってたよ」



