満足そうに頷いて頭を撫でてきた。

もう……そういうの反則でしょ。


「どうすんの?今日帰んの?」


「うん、もちろん帰るよ」


昨日の事はあやふやにできない。

私がブレスレットを盗っていないことを、ちゃんとみんなにわかってもらわないと。

「あのおっさんは一筋縄じゃいかねーだろうから無理すんなよ、なんかあったらすぐ電話して?」


「うん……ありがとう」


きっと一人だったら怖かった。


天馬くんがそう言ってくれてすごく心強いよ。


そう、いつも私の味方をしてくれてたよね。


私なんてただの許婚なのに、どうしてここまでしてくれるんだろう。


天馬くんの優しさの意味を、この時私はまだ全然わかっていなかった。