急いで持っていた鏡で確認すると、アイメイクが落ちてしまってパンダになっている。
これは相当やばい。
ファンデとリップしか持ってきてないのにどうしよう。
「うちに来る?こっから近いし。泊まればいーじゃん」
「えっ!いい!なんとかするからっ」
「そんな顔で電車に乗んの?」
「うっ」
確かに究極に恥ずかしい。
というかこれを天馬くんに見られてしまったのも、かなり恥ずかしくて逃げ出したい。
「変なことしねーし」
それは信用ならん。屋上の事があるし。
天馬くんの家……一人暮らしって言ってたよね。
でも今回は緊急事態だししょうがないのかな……。
「わかった……じゃあ絶対変なことしない?」
「しねーよ。ほらいくぞ」
天馬くんは片方の口角をあげて笑い、私の手首を掴んだ。