「あ、里奈、別荘行くから準備しとけ」


いつも通り、冬夜くんは夜食を、私は夜ご飯を食べていた。


「え?」


「だから、別荘」


「いつ?」


「夏休みの間」


......。


別荘。


夏休み......。


「終業式、明日じゃん!」


フリーズしてた思考が急に回り出す。


「あー、ほんとだ」


どうでもいいというように言われた。


「とりあえず、明後日の朝。あと、メイド服はいらねーから、ずっと私服な。
で、夏休みはほとんど向こうで過ごすから」


急すぎて、もうどうしたらいいかわかんない。


「私、私服とか持ってない......」


「は?」


だって、パパが死んでから服なんて買って貰えなかった。


世間体のために学校は行かせてもらって、微々たるお小遣いは貰ってたけど服なんてとても買えない。