やっぱり、と言うように笑った母にいらだちが募る。


「話はそんだけか」


「別れたなら、朱莉ちゃんと結婚するのよね?」


「は?」


何言ってんの。


「だって、あの子はもういいのでしょう? あなたもやっと現実を見てくれたのね」


ああ、俺が振ったと思ってんのか。


「まだ諦めてねーから、結婚はしない」


「なっ」


「母さん、俺は里奈がいいんだ」


まっすぐ彼女の目を見据えて言えば、それ以上は何も言われなかった。