席に戻り彼らが取りに行くと、待ってました! とばかりに絢が右側の私をニヤリ見た。


「連絡は?」


手を拭きながらNOサインを送ると残念な顔を見せた。


「残念! 会えるかな?」


「来るんじゃ……あっ! ほらっ。……うっそぴょーん」


玲の視線を勢い良く追いかけた私は、つい素直に溜息を吐いた。

そんな私を挟んでニヤニヤの顔に無言でジロり圧力の視線を送るが、全く動じず二人揃って手を合わせた。

私もドキドキしながら頂きます!


「来るといいね」


「仕事中よ」


絢にそう答えると、左隣の玲が私の左手小指を握ってきた。


「きっと凌ち、ソワソワキョロキョロしてんじゃない? 運命の赤い糸で結ばれてるならきっと会・え・る♡」


「……なかったら?」


「私達が、黄金のリボンで結んであげる」


絢の力強いお言葉に玲もブンブン首を振った。


「さ、食べよ! 腹が減っては戦が出来ぬっ!」


「何と戦うの……」


玲の意味不明な気合いに、絢は呆れたように笑った。


「凌ちに気合いっ! 入れてやる」


……出来れば静かに見守ってほしい。


「気持ちだけで十分。もし会えても夜中の話悟られないでね!」


私は、鼻息荒く言い放った玲にやや焦って念押しした。


「任せろっ」


力強くGooサインする姿に沈黙……目を瞑りサッと焦りを手放した。

そして彼らが山盛りのお皿を持ち席に着くと、話題は絢達の結婚式へと変わった。

まだ式場選びの段階で連休もずっと式場巡りしていたそう。

実は、ここでのランチもブライダルフェア見学を兼ねてらしいが、"凌君を捜せ!"が本命と目が語っている。

……いいな~ブライダルフェア。

私もいつかきっと……。


「しかし凌の言う通り凄い立派な大聖堂」


ヒロさんが、大聖堂を見ながらしみじみ語った。


「どっかの世界遺産のまんまらしいよ。あいつ五カ国語操る男だからフロントかと思ったけどいないね」


五カ国語!? 凄い!

皆で驚いていると日向君がドヤ顔をした。


「簡単な会話も入れたら七か八? あいつ記憶力すっごいの。けど不器用だから調理は無理」


料理は、全然って言ってたね。

尾行の御礼、何か手作りしようかな?


「トイレ掃除かもー」


玲は、唐揚げをお箸でぶっ刺しながら無邪気に笑った。


「さすがに御曹司にさせないでしょ」


絢は、眉を下げ笑って返した。


「いや有り得る。凌、大学からここでバイトして将来の為にあらゆる部署経験したいってハウスキーパーもしてたし。今は、現場離れて後継者としての勉強中だけどマジ現場好きなんだよね。『やっと普通にGW過ごせると思ったのに』とか言いながら率先してヘルプ出てさ。それにただの恵まれたボンボンじゃないからね。昔から親の力って見られるのが超嫌で超努力家。だから大抵のことは人並み以上に持ってくんだけど、マジ手先は不器用で料理、芸術のセンスはないんだ。だから奥さんは、料理上手だといいな」