玲は、納得の顔で話す途中、急に閃いた様子で興奮気味に語った。


「まさか……。ただ私達が知り合いだったのは知ってた」


「あの時のチームメイトは皆んな知ってるでしょ。国立決勝ナンパ事件」


「何それっ!?」


あ~また余計な事を……。

玲は、絢から凌君との出逢いを聞かされ大興奮!


「アオハルじゃーん。倫が『凌、昔から絶てぇ一目惚れはしねーって豪語してたけど……怪しい』って言ってたんだ。特に突っ込まなかったけど実はかおりに一目惚れ?」


「まさか~」


私は、一目惚れ……なのは、未だ絢にも秘密。


「私は、有り得ると思う。確実に下から見惚れてたもん」


二人に冷やかされ顔が熱くて堪らない。

でも凌君のこと話せてホッ……。

そう思った時、窓の外を見て遠い目をする玲に申し訳なさを感じた。


「ごめんね」


「……何で!?……まさか純のこと?」


玲は、控えめに頷いた私に眉を寄せ叔母さんふうに手をお辞儀させた。


「やめてよ~。確かに身内感覚で宜しくしてたけど、こっちこそうちのバカが振り回してすんませんだよ。でもマジ終了! 凌ちのこと超応援する。あたし、かおりに幸せになってほしいもん。かおりは、最大限奴に応えようとしてたしもう十分! 凌ちとめちゃお似合いだし絶対凌ちのが安心だしね」


「……ありがとう」


決して最大限でなかったことに後ろめたさ感じるけれど、凌君に走り出した想いはもう止められない。


「もう時間の問題? どう口説くか見物ね」


「たんのしみ~! ……あ、純の女の影は?」


「全否定されたけど……必死に有り得ないって自分に言い聞かせてたような……」


首を傾げて苦笑いすると、二人も同じような顔で頷き返した。


「そっか……よし! 最後にスイーツで新たな恋に乾杯だ! 取りに行くよ」


玲が、勢い良く立ち上がり、私と絢は笑顔で頷き後に続いた。

私は、やっと玲に本音を伝えられて心が軽くなり、窓の外で揺れる眩しい新緑を目にして微笑みながら軽い足取りでスイーツを選びに行った。