「おまえだれ?」


「律君!? お前なんて言っちゃダメ」


「だれのパパ? ナンパしてんなよ」


焦って律君に注意すると、次は碧君があなたを睨み生意気な口をきいた。


「ナ、ナンパって……違うし」


ナンパなんて言葉どこで覚えたやら……。

どう話そうか考えていると、あなたはクスクス笑って二人を見下ろした。


「僕達、人に名前を聞く時はまず自分からって覚えとけよ。俺は、凌。かおり先生の友達で誰のパパでもないよ。ナンパは~してたかも? だって先生超可愛いじゃん」


そして私の左肩を抱き寄せるあなたから慌てて逃れプチ睨み返した。


「もうっ、からかい過ぎ」


「せんせいは、おれとけっこんするんだ。かえれっ!」


律君が、私の前であなたに向かって両手を広げると、あなたは最高に楽しげに彼の脇腹を軽々と持ち上げ左右に大きく揺らした後、自分の後ろに下ろした。


「悪いけど俺が先だから諦めな」


そして律君の頭を掴みぐるぐる回した。


「あとからきたくせに!」


「俺はな、十年以上前から狙ってんだよ。お前らまだお空の上。ハイ、俺の勝ち~」


もう……完全に子供達で遊んでる。

本当に子供好きね。

……あなたの冗談発言にトクントクン耳に心音が鳴り響き、またピンクの花びらが舞い上がる。

二人に『かえれ!』と力いっぱい押されてもビクともせず、満面の笑顔で両脇に二人を抱えミニサッカーゴール前のボールに突進してストンと二人を下ろすと、反対側のゴールに素早くシュートを決めた。

その様を見ていた周囲の先生、ママ達が一斉に感嘆の声を上げると、一転恥ずかしげな顔でこちらに走って来た。


「ナイス! 本当に子供好きなのね」


「大好き! そうだ、今度近くに飯上手い店あれば教えて」


「うん」


子供達に本気で嫉妬しそうなほど輝く笑顔のあなたは、太陽より眩しくてハートがトロけそう。


「今度ぜひ家に飲みに行くわ~。潰れたら優しく解放してね、凌」


あ、やっと玲と湊君が来た。

あなたは、背後から覗き込んだ玲にスッと背を向けると、湊君の前に座った。


「勘弁! 超酒癖悪いそうで。湊お帰り。パパまだ仕事だから何か食べて帰ろ」


「やった!」


若いイケメンパパをラブラブ光線で見てる待ちのママ達は、パパトレード希望だらけと予想。

誰が見ても素敵パパ認定の微笑ましい様に、未来のあなたの隣に並ぶのは私でありたいと強く強く願わずにいられない。