「超綺麗、久々に見た。ラッキー!」


そこに青空より爽やかな笑顔のあなたが立っていた。

白シャツ X ブルーデニムシャツ X ネイビーパンツの爽やかコーデが最高に似合い、しばし見惚れる。

まるで画面や紙面から抜け出して来たみたい。

これほどの爽やかイケメン滅多にいない。

ほら、室内のカウンターの子達も秘かに盛り上がっている。


「お待たせ……」


あなたの笑顔に心底安心したのか、その驚き眼に涙を浮かべていたと気付いた。

慌てて指で拭い作り笑いに切り替えると、あなたの腕に優しく後頭部を引かれる。


「無理しないで。心細かったろ? ……もう大丈夫、泣いていいよ」


優しい声と言葉、温かな腕に包まれ胸が震え出し、堤防が決壊したように一挙に涙が溢れ出した。

あなたは、すがるように腰に手を回した私の髪を何度も優しく撫でてくれる。

……本当に優しすぎる。

あなたのような素敵すぎる人にこんな遠くまで迎えに来てもらって普通なら勘違いしちゃう。

絶対好きになっちゃう。

私だって普通の女……もうとっくに好きだけどね。

もうどんどんあの頃の想いが戻ってくる、絶対に止められない速さで……。

ひとしきり泣き続け正気を取り戻した私は、恥ずかしさに即手を離ししばらく顔を上げられずにいた。


「出よっか」


「……あ!」


あなたは、そんな私の頭頂を軽くポンして伝票を持ち先に行ってしまった。

私は、焦って本を戻し慌てて後を追うが既に会計は終わっていた。


「ご馳走様~」


「ありがとうございました」


「ご馳走様でした」


母親世代も魅了する笑みで御礼を言い店を後にしたあなたにお札を差し出すと、頑として拒否され困り果ててしまう。


「せっかくだから海付き合ってよ。それでOK」


「……わざわざ来てくれたのにご馳走にまでなれない」


それに喜んで付き合うもの。


「俺が、勝手に来たんだしご馳走したいだけ。……迷惑ならごめん」


右隣でボトムポケットに手を入れ立ち止まり心配な眼差しで見下ろすあなたに慌てて左右に首を振った。


「そんな……凄く嬉しい。来てくれて本当にありがとう」


「……その笑みで充分。行こう」


長い腕で私の肩を押して歩み出すあなたを愛しさ全開で見つめると、誰もが虜になるであろう微笑みに胸がバラ色に輝き出した。