彼が、安堵の表情から爽やかな笑顔で白い歯を見せた瞬間、その爽やかさに負けないスカイブルーの風に吹かれた気がした。

その鮮やかな風は、私の胸の中をパステルピンクに満たし限りなくあたたかな光に変化させ、ずっとずっと眠っていた胸の奥の蕾にダイヤモンドダストのような煌めき溢れる光を吹き込み、その蕾を彩やかに美しく花開かせたように感じられた。

これ以上言葉に出来ないほどの至福感が、私の胸いっぱいに渦巻くように芽生え全身を駆け巡る。


「凌先輩やる~!」


「国立っ! しかも決勝戦でナンパ!?」


「余裕〜っすね! 優勝間違いなし!」


最速で鳴り響く胸を押さえながら彼の青く澄んだ空より爽やかな笑顔に眼を離せずにいると、隣の応援団から次々に冷やかし声が上がってきた。


「はぁっ!? ふざけんなバカッ!」


彼は、バランスの良い美しい瞳を丸くして叫び、あからさまに照れた顔で私を見ると軽く頭を下げベンチへと走って行った。

私は、その後ろ姿を熱い頬、耳まで響く騒がしい鼓動と共に初めての甘いドキドキを胸に秘めながら一心に見送り続けた。