俺は、超ドヤ顔を崩したくて少々茶化してやった。

意図通り舌打ちして俺を睨み溜息吐きながら背もたれに腕を広げる姿に、腹ん中でガッツポーズ!


「声可愛いね」


そう、少し高めの澄んだ声……懐かしい声に似ていた上に名前まで同じとは……。


「かおりは、全部が可愛いんだよっ!」


純は、鼻で笑い恥ずかしげもなくそう返すと再び睨んできた。

俺は、呆気に取られじっと奴を見返した。

あれほど『彼女なんて無駄! 邪魔!』一点張りだった奴を骨抜きした彼女に超好奇心が高まる。

眼鏡取りに行けば良かった……早く見て~超見て~!

間違いなくイイ女だろう。

純は、超口が緩みニヤニヤ全開の俺を更に鋭い眼で威嚇するように睨んだ。


「倫行くぞ!」


「はいはい。凌、飯行ける?」


「ごめん、帰る。また連絡する」


立ち上がり手を上げると、倫は何か言いたげに俺を見上げるが再度呼ばれると溜息混じりで俺の肩を叩きゴールへと歩いて行った。