その後、無言でアンケート集計をして最後の一枚が終わって。
沈黙の中、口を開いたのは岩瀬だった。
「あのさ」
「……うん」
「高根ってさ、一年の頃全然学校来てなかったじゃん」
なんで突然高根くんの話になるの?
ずっと下に向けていた顔を上げると、岩瀬の目は真っ直ぐ私を捉える。
「そしたらさ、髪赤くしていきなり来たじゃん――」
意味の分からないまま、岩瀬はどんどん話を進めていく。
「俺さーその頃、親と凄いもめててさ。毎日ケンカしててさ……」
世間話なのか昔話なのか、よく分からないけど。とりあえず、岩瀬の話に相槌を打つ。
「苛々して中庭で授業さぼってたら、あいつも丁度きてさ――」
"あいつ"というのは高根くんの事だとすぐ分かった。



