最終日
お姉さんと朝二人で起きた。
会話はなかった。家を出るまで

帰ったらまう二度とここ来ることは無いのかな。
こんな都会とはサヨナラだなぁ。
そう考えながら歩くと歩幅が狭くなる
何故だろう。お姉さんの歩幅も同じ位になっている。
僕より背の高いお姉さんは僕より歩幅が大きいはずなのに

駅につくまでは一瞬だった
改札口の前でお姉さんの目から涙がこぼれた。

そんなの僕だって我慢できるはずが無い。
僕は何も考えられなかった
泣きながらお姉さんに抱きついた
「大好きです」
ポロっと出た言葉はそれだった。
出会った当初と同じ、そんなときに使うはずのない馬鹿げた言葉、ありがとうでもサヨナラでもない、大好きだった。

お姉さんは答えた
「大好きだよ」

!?

頭の中が真っ白になっていく
今まで子供扱いされて、好意を持っていることがバレてバカにされていると思っていた。
嬉しいとか、そんなんの前に悲しかった。

「僕、2年後絶対にここに来ます。それまで待っててください。絶対、絶対に。」

お姉さんも「待ってるよ」と言ってくれた。
「でも、そんなに待てないよ。会いたい。」

ズルい。ズルすぎる
いつも口の悪いお姉さんがこんな言葉。ズルいよ…

「夏休み、絶対に会いに来ます。」

そう約束をした。

時間って空気が読めない物だなぁ、
電車のベルが鳴る


「これ、僕の携帯番号です。」
咄嗟に走り出したので持ってこなかった携帯の番号を書いた紙を渡した。

そして僕らは引き裂かれる
無謀な約束だけ残して。