周りは工場と田んぼしかないドがつくほどの田舎から逃げてきた僕には、
行き着いた都会が綺麗に見えた。

流石に知っているファーストフード店だって
違う物に見えるくらい。
周りの人はなんて高そうな服を着て、上品そうに歩いていた。

駅の前のベンチで座り、俯いていた僕。
ふと顔を上げるとビルについていたテレビのようなものには時間が書いてあった
「もう20時か」
行く場所もなくため息混じりの声と共に頭が落ちた。

近くで騒ぐ3人組の男女
面白がって声をかけてきた
「どうしたのこんな所で暗い顔してさぁ」

ああ、なんて鬱陶しい。
こんな僕に構わずどっか行けよなんて思いながら無視を続けた
彼らの話は頭には入ってこなかった

「一緒に遊ぼうと思ってただけなのにさー。
ねえ、金ある?」

僕の眉間にシワがギュッと寄った。
さすがの僕にもわかる、これは恐喝だ

「ねー。あんでしょ?財布、見せてみなよ」

ポッケの中を見たって1万円から電車で使った分を引いて…5000円と小銭くらいしかない
でもこれを取られたらと思うと僕はポッケを上からギュッと握りしめた。

3人組のうちの一人の男が僕の腕に手を伸ばしたとき、明らか彼らとは違う声が聞こえた。

「お前らガキ相手にそんなことしてて楽しいか?」

僕は落ちた頭を上げられなかった。

こんなに綺麗な都会も綺麗な事ばかりじゃないんだというショックから頭も耳もシャットダウンしていた。

周りが静かになったような気がして頭を上げると、初めて見る青くて長い髪のきれいな女性がポン、と方に手をおいた

「腹減ったなぁ。ファミレスいくぞ、ガキンチョ」

きれいな見た目とは反して汚い言葉使いで僕の手を引いてファミレスに入った。

「んで、なんであんなこんな時間にあんなとこで?」

僕はまだこの人に口を開けていない
「………」

黙っている僕にお姉さんはすぐに察してくれた
「あー。訳アリかよ。一週間くらい家で休んでくか?お前」

これには僕も初めて口が開いた
いいんですか?とかはいじゃなく、普通こんな時に出る言葉かというくらい馬鹿げた言葉

「ごめんなさい」

この言葉が出たのもあの親のせいだ。
口を開けばこの言葉が出てきてしまう
僕は何もしていないのにこの言葉が出ていたのは心のどこかで逃げ出す決意を決めた日からだったのかな、
そしてお姉さんは笑った
「え?今あたし振られたの!?来るかつってんのにごめんなさいってなんなんだよ」
と笑っていた。

僕は咄嗟に答えた
「あ、お、お願いします」
砕けた雰囲気に緊張が解けたのか断る選択肢が頭になかった。
僕は家から逃げて、一人で家出すると決めた僕からも逃げていた。

食事を終えるとお姉さんの家へ向かった