【美人side】


ボーッと教室の窓から外を見る。


6月らしい程よく暖かい日差し。
爽やかな風。






圭くんと話してからもう一週間がたった。

話しかけるとか言ってたあの後輩には話しかけられていない。

そろそろあれは夢だったのでは...とか思いそうになる。





しかも今日も話しかけられていない...
え、やっぱり夢だったっ...?()
もうホームルームで帰るんですけど...











ん...待って?
なんで1度話したくらいの後輩のことをこんなに気にしてるんだ?




美「はぁ、帰ろ。」

考えるのを放棄して、カバンをもって教室を出た。
もちろん「一緒に帰ろっ!」なんて友達は存在していないので1人で帰りますよ?









あーだこーだ考えているうちに下駄箱についた。

美「AirPodsどこやったかな...あ、あったあった。」

好きなバンドの曲でも聴きながら帰ろうと思ってAirPodsを耳に入れた。




ザワザワ


それにしても今日は騒がしい日だな…
なんかあったっけ?









「先輩。」







あ、この曲にしよ。
この間でた新曲ですごい良かったんだよなぁ。






「先輩。」





やっぱかっこいいなぁ。いい声してるし歌詞がいいんだよね。






「おい雪城 美人。」








美「ぇっはい!」

名前を呼ばれたら大きな声で返事するのは普通だよね。




美「あ、圭くん?久しぶりだね。」


圭「はい。」


美「話しかけるとか言ってたくせに話しかけてこないから、何考えてんのかと思ったよ。」

これはしれっと私のことを呼び捨てにした仕返しだ()
まぁちゃんと敬語使ってるあたりは及第点かな。








ザワザワ

「えー誰あの女。」

「あの子1年の頃からマスクつけてる子だ。」

「てか竜胆と普通に話すとか何者だよ...」

「竜胆くんに馴れ馴れしすぎじゃない?なんな
のあの子。」













.................んーととりあえず、
美「なんでこんな注目されてるの?」



圭「あーそっか先輩俺の事...
あの、今日なんか用事あるっすか?」


美「ないよ。」

ぼっちの私に予定などあるわけが無いのでそう言った。







圭「チッ..…うるせぇな(ボソッ)

先輩、ちょっと別んとこ行きましょうか。」

そういった圭くんは私の手を掴んでもう一度校舎の方へと進んでいく。

まぁその時の女の子たちのうるさいことよ。





美「圭くん女の子から人気なんだね。」



圭「好かれたところでって感じですけどね。うるさいだけだし。」
随分嫌いなんだなぁ女の子のこと。





美「せっかくかっこいいのにもったいないね。」
身長も180近くはありそうだし、モテる要素しかないのに。





圭「っ...」


美「?」
なんで止まったんだ?てかすごい見てくるな。


....もしかして、女の子嫌いならかっこいいって言われるの嫌だったのかな!?


美「か、かっこいいって嫌だった?」



圭「や、そうじゃなくて...っ
気にしないでください。」

さっさと行きましょう。
そう言ってまた私の手を引いて歩き出す圭くん。



えーと...これどこに向かってんだ?